研究最前線

LHD実験の最新成果

 1998年3月31日のファーストプラズマ点火から今日までの7年間の実験で、LHDにおいて、最高値として 電子温度10keV(一億千万度、イオン温度13.5keV(一億五千万度)、蓄積エネルギー1.3MJ(130万ジュー ル)のプラズマを生成・維持することに成功しました。これらの値は、ヘリカル装置が現在磁場閉じ込め方式 で先頭を行くトカマク装置と、そのプラズマ性能において肩を並べるられる領域に至ったことを示しています。 また、ヘリカル装置の特徴である定常維持においてもー時間を超えるプラズマの維持や、プラズマの磁場閉じ 込め装置では世界最高の加熱入力1.3GJ(13億ジュール)を達成しました。

●パラメータの達成値

 表中のベータ値とはプラズマを保持する効率を示す指標で、 プラズマの圧力を閉じ込め磁場の圧力で割ったもので定義され る物理量です。経済的な磁場閉じ込め核融合を実現するため にはこのベータ値が5%以上のプラズマを維持することが要求 されています。

 下のグラフはこれまで世界のヘリカル型実験装置で達成され た最大ベータ値を年を追って描いたもので、LHDが着実に記録 を伸ばし、世界記録を更新していることがわかります。


●第8サイクル実験('04.Sep〜'05.Jan)

 LHDは閉じ込めに用いる磁場を超伝導電磁石により生成し、 定常的なプラズマ閉じ込め性能を実現しています。第8サイク ル実験では、この特徴を生かして高温プラズマを長時間加熱し、 生成保持する実験が行われました。右図は、プラズマに入力し たエネルギーが世界最高値を記録した時の放電波形を示して います。最上段は、用いた加熱入力の大きさで、イオンおよび電 子サイクロトロン加熱はそれぞれ520kWと100kWが定常的に また、中性粒子入射が間歇的に加えられています。二段目と三 段目はイオン温度と電子密度で、イオン温度2keV、電子密度7 〜8×1018m-3がほぼ定常的に保持されていることが示されてい ます。四段目は不純物によりプラズマからの放射を示し、最下 段の青と赤はダイバータの温度変化、緑は磁気軸の変化を表し ています。
 磁気軸を放電中に緩やかに変化させることで、熱負荷を平均 化させたことがこの記録達成の大きな要因となりました。


 LHDにおけるプラズマ閉じ込め性能に関わる代表的な記録 である温度と放電維持時間の発展を左の図に示しています。 初年度のみ2回行いましたが、その後は4〜5ケ月程度の実験キ ャンペーンを一年に一度実施して記録を更新しています。

理論・シミュレーション研究の最新成果

 2003年度より新スーパーコンピュータシステム(主記憶容量1.3テラバイト、演算速度1.4テラプロップス)が本格的に稼動を開始し、核融合プラズマ及び複雑性の科学に関する新しい知見が得られています。また計算機利用技術に関しても著しい進展があり、演算効率で世界最高値を記録しました。

高エネルギー粒子モードのシミュレーション
高エネルギー粒子モードと呼ばれる磁気流体振動の時間発展に関する計算機シミュレーション研究を行っています。
高エネルギー粒子の初期圧力に依存して、振動の構造が時間とともに大きく変化する場合(上段)と変化が小さい場合(下段)があることが明らかになりました。上段の場合は高エネルギー粒子の分布も大きく変化します。

LHDプラズマの磁気流体(MHD)シミュレーション
LHDのプラズマ挙動を、3次元圧縮性・非線形MHDシミュレーションによって調べています。不安定性の励起によって発生した2個の半平行渦対の相互移流効果により、マッシュルーム状の圧力構造が発生する様子が明らかにされました。

開放系における無衝突磁気リコネクションの発生機構
外部駆動原の存在する無衝突磁気リコネクションの発生機構を解明する目的で、電流シートで発生するプラズマ不安定性と粒子運動論効果を3次元粒子シミュレーションを用いて調べました。
研究成果 > 研究最前線
研究成果 > 研究最前線