研究最前線

4.6 %の高ベータプラズマ生成に成功! 2006.11.14

LHD実験の最新成果

 1998年3月31日のファーストプラズマ点火から今日までの8年間の実験で、LHDにおいて、最高値として電子温度10keV(一億二千万度)、イオン温度13.5keV(一億五千万度)、蓄積エネルギー1.37MJ(137万ジュール)のプラズマを生成・保持することに成功しました。これらの値は、ヘリカル装置が磁場閉じ込め方式の一つとして、世界最先端の核融合研究の領域に至ったことを示しています。また、ヘリカル装置の特長である定常保持においても一時間を超えるプラズマの保持や、プラズマの磁場閉じ込め装置では世界最高の加熱入力エネルギー1.6GJ(16億ジュール)を達成しました。

●パラメータの達成値

 表の中のベータ値とはプラズマを保持する効率を示す指標で、プラズマの圧力を閉じ込め磁場の圧力で割ったもので定義される物理量です。経済的な磁場閉じ込め核融合炉を実現するためにはこのベータ値が5%以上のプラズマを実現することが要求されています。

  電子温度
(億度)
イオン温度
(億度)
閉じ込め時間
(秒)
加熱電力
(キロワット)
平均電子密度
(兆個/cm3)
達成最高電子温度 1.16 0.23 0.06 1,200 5.0
達成最高イオン温度 0.52 1.57 0.06 3,100 3.5
達成最大閉じ込め時間 0.15   0.36 1,500 48
核融合三重積 nτTi=2.8×1019m-3・s・keV
最高蓄積エネルギー 137万ジュール
最高べータ値 約4.5%(磁場0.45テスラ)
最高密度 300兆個/cm3(平均)、500兆個/cm3(中心)
最大加熱エネルギー 16億ジュール(3268秒)=約450キロワット時
放電保持時間 3900秒

 下のグラフはこれまで世界の定常型実験装置で達成された最大ベータ値を年を追って描いたもので、LHDが着実に値を伸ばし、世界記録を更新していることがわかります。

LHD(核融合研)
CHS(核融合研)
W7-AS(独)
ATF(米)
Heliotron-E(京大)

●第9サイクル実験('05.Sep〜'06.Feb)

 LHDは閉じ込めに用いる磁場を超伝導電磁石により生成し、定常的なプラズマ閉じ込めを可能にしています。第9サイクル実験でも第8サイクル実験に引き続き、この特長を生かして高温プラズマを長時間加熱し、保持する実験を、加熱方法をさらに工夫して行いました。右の図はこの時の放電波形を示しています。最上段は、用いた加熱入力の大きさを示しています。イオンサイクロトロン加熱は放電の状況に合わせて出力を調整し、平均380kWを、電子サイクロトロン加熱は110kWを一定に入射して、3286秒の間プラズマを保持しました。二段目と三段目は電子密度と電子、イオンの温度で、電子密度が一立方センチ当たり4兆個、電子とイオンの温度が一千二百万度のプラズマがほぼ定常的に保持されていることを示しています。最下段は、熱の分散を行うために行った磁気軸の変化の様子を表しています。
  


 左の図は、世界で稼動している装置のプラズマ保持時間と入力エネルギーの関係を示したもので、このようにして達成した長時間プラズマの保持において、入力エネルギーの総和が、昨年度にLHDで樹立した世界記録を大きく更新する1.6ギガジュールとなりました。

理論・シミュレーション研究の最新成果


LHDプラズマの磁気流体(MHD)シミュレーション
LHDのプラズマの挙動を、3次元圧縮性・非線型MHDシミュレーションによって調べています。不安定性の励起によって発生した2個の反平行渦対の相互移流効果により、マッシュルーム状の圧力構造が発生する様子が明らかにされました。



LHDプラズマにおけるアルヴェン固有モードのシミュレーション
高エネルギー粒子とアルヴェン固有モードと呼ばれるプラズマの振動との相互作用をシミュレーションによって研究しています。LHDプラズマにおけるアルヴェン固有モードの電場の向きが赤色と青色で表示されています。


イオン温度勾配乱流による輸送のシミュレーション
トーラス磁場中に閉じ込められたプラズマでは、その空間不均一性をもとに乱流が発生し、熱や粒子が装置外部へと輸送されます。地球シミュレータ(海洋研究開発機構)を用いてその過程を解析した結果、帯状流の生成過程や乱流輸送の定常状態の様相が明らかになりました。


無衝突磁気リコネクションの粒子シミュレーション
電磁粒子シミュレーションを用いて、薄い電流層の中央付近(緑色領域)で発生するプラズマ不安定性に伴う波粒子相互作用により異常抵抗が生み出され、その結果、無衝突磁気リコネクションが誘発されることを明らかにしました。

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