第1章 核融合科学研究所の目的

 エネルギー資源の乏しい我が国において、長期にわたる安定的エネルギー源の確保は必要不可欠であり、核分裂、太陽光発電、核融合、その他のエネルギー発生法が考えられ、研究が進められているところである。中でも核融合は将来の究極のエネルギー源として期待されている。このため、核融合炉実現に向かって、世界の主要国において活発.な研究活動が展開されている。

 我が国においても昭和50年代から核融合についての研究活動は一段と活発となり、その研究成果は国際的に高く評価されてきたところであるが、更なる飛躍を期するため、学術審議会の提言等を受けて、平成元年5月29日に大学共同利用機関として核融合科学研究所が発足した。その目的は将来の核融合炉の実現に向けて核融合プラズマの学理及びその応用の研究を行うことにある。

 核融合研究は他の基礎科学分野と違って明確な実用的目標を持った研究である。核融合炉の実現には現象の本質的な理解をもたらす科学の裏付けが必要である。しかし、物理現象の複雑さのために核融合研究が世界的にも未だ核融合科学として確立しているわけではない。本研究所は核融合研究全般の飛躍的発展を目指し、核融合科学として確立させるべく研究活動を行うものである。そして本研究所の具体的基本方策とレて、核融合炉の実現を目指して大きく貢献できる可能性がある大型の実験及び理論・シミュレーション研究を主軸として進める。

 まず、大型の実験研究として大型ヘリカル装置を建設し、これを用いた実験研究を行う。ヘリカル型装置は環状磁場系の外部導体系装置でありプラズマ内に電流を流す必要がないので、特に定常炉の可能性の高い方式としての優れた特徴を持うている。また我が国はヘリカル方式についての長い研究の歴史があり、世界的に見てもこの分野において先導的立場にある。これまでにこの分野における我が国の国際的分業における貢献度は極めて高く、新大型装置によって未踏のプラズマ領域の研究を世界に先駆けて行う可能性を持っている。加えて、ヘリカル系の研究は軸対称系を特徴とするトカマク型装置による研究と相補関係にあり、長期的にみて環状系磁場閉じ込めプラズマの総合的理解に寄与することが期待される。

 一方、最近の計算機の進歩により、理論・シミュレーション研究も核融合科学確立に向けて重要な分野となってきている。本研究所は大型計算機を導入し、理論・シミュレーション研究においても世界の先導的な役割を果して行くとともに、核融合プラズマに関する理論の体系化を行う。上記実験、理論の両面において共同研究・共同利用を推進し、大学等における核融合分野の研究者の総力を結集して、核融合研究を進める。また、一つの研究所で複数の大型装置を持つことは極めて困難であるため、各国問の情報交換、研究者交流、国際的役割分担は必須となってきている。優れたアイデアの迅速な伝達のためにも、核融合研究の分野での国際交流・協力を推進する。

 高温プラズマの生成・保持の実験的理論的研究と核融合炉工学は、核融合研究の車の両輪に例えることができる。炉工学の発達なしには、安全性と環境と調和のとれた核融合炉は成立しないことはますます明らかになってきている。大学の層の厚い炉材料・炉工学の研究者の共同研究を集約する機能を持つことが本研究所にとって大事である。さらに、総合研究大学院大学の大学院教育を行い、また、各大学の大学院教育に積極的に協力すること等により優れた研究者の養成に資する。これは長期プロジェクトを担って行く後継者養成のためにも重要であり、研究の活性化にもつながる。

 以上のように、本研究所は我が国の核融合研究の分野における中枢的機関として、大型ヘリカル装置計画の遂行、理論・シミュレーション研究、共同研究、国際協力、若手研究者の育成を柱に活動を行っている。

 上記の諸目的を遂行するため、大型ヘリカル研究部のほかに、理論・シミュレーション研究センター、研究・企画情報センター、炉工学研究センター、'安全管理センター、計算機センターが設立され、研究を行っている。




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