第2章 核融合科学研究所の歩み(組織と運営)

 大学等における核融合研究の推進方策については、文部大臣の諮問機関である学術審議会において検討され、昭和55年11月に、同審議会から「大学等における核融合研究の長期的推進方策について」の建議が文部大臣に提出された。その骨子は、大学における、核融合研究の今後十年を展望した推進方策とその基本的な考え方についての提言である。

 その後引き続き、学術審議会特定研究領域推進分科会核融合部会において、核融合研究の動向等について検討が重ねられ、昭和61年2月、同核融合部会は、報告書「大学における今後の核融合研究について」をまとめた。この中で今後必要とされる大学での大型研究計画の備えるべき要件として、おおむね次のようなこと

(1)核反応プラズマ実験の支援研究として十分意味を持つ研究
(2)現行トカマク方式の持つ炉工学的課題を緩和する上に有効な炉心プラズマに関する知見を導き出す研究
(3)これまでの各種核融合研究による知見の十分な活用
(4)予想される成果が10年先を見通した上で十分に斬新なものであり、それが核融合研究の発展に寄与する新しい知見を与え得る研究
(5)大学等における多くの研究者の英知を集めて、実りある成果を生み出す基盤を備'えた計画

が重要であると述べられている。そして、検討の結果、新たに外部導体系大型ヘリカル装置計画を策定するのが適当と考えられるとしている。

 その後、学術審議会の検討等を踏まえて、その具体的方策について調査検討するため、同年4月に「核融合研究を推進するための調査研究協力者会議」が文部省に誤置され、その検討の結果、昭和63年4月に大学における核融合研究の新大型計画として「次期大型ヘリカル装置計画の概要」とその推進母体として「核融合研究所(仮称)の組織」についての報告が取りまとめられ、名古屋大学に創設準備委員会及び核融合研究所(仮称)創設準備室が設置され、具体的な創設準備に入った。

 一方では、次期装置等の建設のための用地取得についても調査検討が行われ、土岐市を始め地元の協力・支援を受けて、昭和62年に用地の購入が完了し、平成元年3月に土地造成が完了した。

 このような経過の後、平成元年度予算において、核融合科学研究所の創設が認められ、国立学校設置法施行令が改正され、名古屋大学プラズマ研究所を改組転換するとともに、京都大学ヘリオトロン核融合研究センターの一部及び広島大学核融合理論研究センターの一部を移管して、平成元年5月29日大学共同利用機関として核融合科学研究所が設置された。

 設置後は、低温実験棟、加熱実験棟、計算機実験棟、計測実験棟、大型ヘリカル実験棟等が順次竣工し、平成9年の研究棟、図書館、管理棟の竣工にともなって、平成9年7月土岐地区へ移転した。また、平成2年度から建設してきた大型ヘリカル装置も、平成9年12月に装置本体が完成し、完成した大型ヘリカル装置による実験を平成10年4月から開始し、現在まで計画に沿って着実に研究成果を上げている。

 次に、設立の経緯及び経過をまとめた年表及び現在の組織体制について示す。


年表
昭和55年11月 学術審議会において建議「大学等における核融合研究の長期的推進方策について」がまとめられた。
昭和61年2月 学術審議会特定研究領域推進分科会核融合部会において、「大学における今後の核融合研究について」と題する報告が取りまとめられた。
主な内容は次のとおり
(1)大学における次期大型装置はヘリカル型とし、全国の研究者の英知を結集して、岐阜県土岐市に建設する。
(2)新大型計画の推進母体として、新たに大学共同利用機関を設立する。
(3)新大型計画以外の研究については、既存装置の活用等により、引き続き推進する。
昭和61年4月 「核融合研究を推進するための調査研究協力者会議」が設置されて、学術審議会核融合部会報告の具体化方策について調査研究が開始された。
昭和62年度 「新大型装置等調査経費」が措置された。
昭和62年7月 名古屋大学プラズマ研究所の移転用地として、岐阜県土岐市の土地約47万m2の購入を終了した。
昭和63年3月 核融合研究を推進するための調査研究協力者会議は、(1)核融合研究所(仮称)の緯織、(2)次期大型ヘリカル装置計画の概要、についての報告を文部省に提出した。
昭和63年4月 「核融合研究所(仮称)創設準備委員会」及び「創設準備室」が設置された。
昭和63年6月〜7月 名古屋大学、京都大学及び広島大学の評議会において、名古屋大学プラズマ研究所を廃止して新機関及び同大学の学内共同教育研究施設に乾換すること、並びに京都大学ヘリオトロン核融合研究センターの一部及び広島大学核融合理論研究センターの一部を新機関に移管することがそれぞれ承認された。
昭和63年7月 核融合研究所(仮称)創設準傭委員会において、「核融合研究所(仮称)の設置樽想について(中間のまとめ)」を取りまとめた。
昭和63年7月 学術審議会総会(第63回)において、核融合科学研究所(仮称)の創設及び大型ヘリカル装置の建設が承認された。
昭和63年9月 原子力委員会核融合会議(第94回)及び原子力委員会において、核融合科学研究所(仮称)の創設及び大型ヘリカル装置の建設について報告が行われた。
平成元年1月 平成元年度予算案に核融合科学研究所(仮称)の創設及び大型ヘリカル装置の試作開発のための経費が計上された。
平成元年2月 核融合科学研究所(仮称)創設準備委員会において、「核融合科学研究所(仮称)の設置構想について(まとめ)」を取りまとめ、文部省に提出した。
平成元年3月 「設置準備協力者会議」が設置された。
平成元年3月 土岐地区の土地造成が完了する。
平成元年5月 国立学校設置法施行令の一部改正により「核融合科学研究所」が設置された。
平成2年7月 米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校プラズマ・核融合研究所と学術協定締結
平成2年10月 低温実験棟竣工
平成3年3月 土岐地区披露式典開催
平成3年10月 大型ヘリカル実験棟建設工事着工
平成3年11月 特高変電所竣工
平成4年3月 加熱実験棟竣工
平成4年4月 国立学校設置法施行令の一部改正により総合研究大学院大学と緊密な連携及び協力を行う大学共同利用機関に指定された。
平成4年6月 中国科学院等離子体物理研究所と学術協定締結
平成4年11月 準定常電源棟竣工
平成5年1月 計算機実験棟竣工(第1期分)
平成5年5月 ドイツ連邦共和国マックス・プランク・プラズマ物理研究所と学術協定締結
平成5年5月 ロシア科学センター=クルチャトフ研究所と学術協定締結
平成5年8月 受水施設竣工
平成6年4月 計算機実験棟竣工(第2期分)、ヘリウム圧縮機棟竣工
平成6年5月 冷却水装置棟竣工(第1期分)
平成6年10月 ウクライナハリコフ物理工学研究所と学術協定締結
平成7年3月 計測実験棟竣工
平成7年5月 オーストラリア国立大学と学術協定締結
平成7年8月 大型ヘリカル実験棟竣工
平成8年3月 韓国基礎科学支援研究所と学術協定締結
平成8年3月 加熱電源棟、自家発電機棟竣工
平成8年11月 制御棟竣工
平成8年12月 研究棟竣工(第1期分)
平成9年2月 冷却水装置棟竣工(第2期分)
平成9年3月 図書館、管理棟及び研究員宿泊施設竣工
平成9年7月 土岐地区へ移転し研究所所在地を「岐阜県」に変更する。
平成9年9月 器材庫竣工(第1期分)
平成9年10月 核融合科学研究所移転記念式典開催
平成9年12月 LHD本体完成
平成10年2月 町村文部大臣が研究所を視察する。
平成10年2月 開発実験棟竣工
平成10年3月 ファーストプラズマ点火
平成10年4月 LHD実験第1サイクル開始(平成10年5月まで)
平成10年9月 LHD実験第2サイクル開始(平成16年12月まで)
平成10年10月 横浜で開催されたIAEA国際会議で初期実験の成果を発表し、世界的評価を受ける。
平成10年10月 大型ヘリカル装置完成記念式典開催
平成10年11月 研究棟竣工(第2期分)
平成10年11月 第1回核融合科学研究所一般公開実施
平成11年4月 炉工学研究センター設置
平成11年4月 学術審議会特定研究領域推進分科会原子力部会「原子力関係機関等における今後の連携・協力の在り方について」と題する報告がとりまとめられた。核融合研究に係る主な内容は次のとおり
(1)大学等は引き続き種々のプラズマ閉じ込め方式の先駆的・基礎的研究を着実に進めるとともに、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)の共同利用による実験研究を積極的に推進する。
(2)(1)と併せて、核融合炉の実現に必要な広蝿にわたる工学的基礎基盤の体系化を目指す核融合炉工学の先駆的研究を、より総合的に推進する。
(3)核融合科学研究所を中心とする全国の大学等の研究者が参加する核融合研究のネットワークを通じた活動の充実を図る。
(4)〜(1)(2)(3)を通じて大学等は核融合に関する研究の体系化や人材の育成を推進するとともに、日本原子力研究所等における研究開発活動に対する相互補完的・協力的機能の一層の充実を図る。
平成11年5月 開発実験棟(第2期分)竣工
平成11年7月 LHD実験第3サイクル開始(平成11年12月まで)
平成11年8月 有馬文部大臣が研究所を視察する。
平成11年10月 CHSを東山サイトから土岐サイトヘ移設
平成12年1月 工務棟及び危険物倉庫竣工

核融合科学研究所機構図

平成12年3月31日現在




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