3.1.2.2 プラズマ計測研究系

(1)はじめに

 LHDの計測は、LHD本体の設計、建設と歩調を合せて計画の当初より開発を進めてきた。
その結果、LHD本体の設計特にポート設計に、また、大型ヘリカル実験棟の設計に計測からの観点が大きく取り入れられている。LHDの計測では従来の計測レベルから大きな飛躍が要求される。そのために必要な計測機器の開発のために計測実験棟を整備し、ここでの積み重ねがLHD実験開始当初からの計測機器の速やかな立ち上げに寄与している。

 LHDのプラズマ計測機器の基本設計において以下の点に留意している。

  1. ヘリカルプラズマが軸対称性を持たない三次元プラズマであるため、諸断面での二次元計測など詳細なプラズマ中の分布計測を進める。
  2. ヘリカルプラズマに対し、電場が閉じ込めに大きい影響を持つと予測されるため電場計測を複数の手法を用いて行う。一.また、それらを用いて異常拡散の解甲のための揺動等の計測を実現する。
  3. 計測手法の適用に大きな飛躍が必要な場合、可能な限りCHS装置などの支援装置を用いて開発を積み上げる。
  4. 複数の計測器によるクロスチェックを行い、計測の信頼性を高める。
  5. LHDの特徴である定常プラズマ実験時の計測においては、計測窓や計測用真空容器内蔵物の冷却や積分回路を用いた計測器、データ取得の効率的運用などに配慮する。

(2)研究成果の概要

 電子温度計測、電子密度計測、イオン温度計測、高エネルギー粒子計測、不純物計測、揺動計測、電場計測などについて、約30のそれぞれ異なった計測機器の開発を行った結果、大部分の計測器がLHDへ設置され、下記のような成果を挙げている。

  1. 基本計測器であるトムソン散乱による通常空間110点(200点まで可能〉の電子温度計測、FIRによる空間13コードの電子密度計測が信頼性高く稼動している。特に平成11年にはトムソン散乱ではレーザーのマルチビームなどによりデータ品質が向上し、ピーク、ホローなどの各種電子温度分布のパターンが観測された。輸送解析に向けた重要なデータベースを提供している。また、ECEやSX-PHAによる電子温度計測も行っている。
  2. 荷電交換再結合光法(CXRS)ではイオン温度分布計測、'ポロイダル回転計測に加え、トロイダル回転計測も行っている。WV分光ではダイバータ部カーボンタイル設置及びチタンゲッターにおいてそれぞれ金属不純物と酸素不純物の低減を観測した。空間80チャンネルBrems(Zeff)計測器稼動、;不純物モニターの完成、可視分光、HαおよびHeのトロイダル、ポロイダル分布計測を開始した。
  3. FNAや結晶分光なども新たに稼動し、データを提供し始めた。FNAによりイオンエネルギースペクトルをルーチン的に測定、また、NBI、ICRF時に高エネルギーテイルを観測。結晶分光器により中心イオン温度およびトロイダル回転速度計測を開始。
  4. IRボロメータやSX-CCDなど2次元計測器の進展があった。2台のイメージングIRボロメータの稼動を開始し、放射光損失分布を観測している。SX-CCDカメラにより接線方向X線画像計測も実施している。磁気軸位置導出も可能となった。
  5. SX検出アレイ及び磁気プローブ計測によりm=3/n=3などのインターチェンジモードの内部構造の観測とエッジ圧力勾配との相関研究、高速イオン励起トロイダルアルヴェン固有モードと周波数掃引モード観測、SX計測による不純物イオン輸送計測が進展した。
  6. マイクロ波反射計の稼動を開始し、プラズマ最外殻磁気面位置や密度情報を取得した。粒子輸送計測のためのトレーサー内蔵計測ペレット入射実験も開始した。
  7. プラズマ中の電場計測のための重イオンピームプローブ(HIBP)のビーム入射系を本体棟に設置した。イオン源の開発も進展し、平成12年度中にHIBPシステム全体を完成させ、電場計測を開始する予定である。
  8. データ収集系は計測器ごとにサーバーを配置した分散型となっており、そのシステム全体の稼働率は99%となり、第3サイクルでの総生データ量は2TBにまで達した。また、新たに解析情報グループを立ち上げ容易に各種データを参照できるシステムを作成し、利用に供している。

(3)今後の課題

今後の課題としては以下のものが挙げられる。

  1. 計測分布データの更なる精度向上
  2. 重イオンビームプローブの全システム設置、電場計測開始
  3. CXRSのSN比及び視野の改善方策検討・実施
  4. 高エネルギーイオンの振る舞い、ロスコーン研究の推進
  5. 高加熱電カプラズマにおける揺動計測器の充実と閉じ込め改善研究への貢献
  6. ダイバータプラズマ計測システムの検討・設計・建設
  7. 大容量データ格納、リアルタイムデータ収集対応、データ閲覧統合化
  8. 物理解析に貢献できる計測器の充実、輸送研究のための計測開発.

これらを遂行・実施するため、国内外の共同研究者との共同研究も含めて開発・設計・機器製作・計測を推進して行く。




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