3.1.3 LHD実験成果

 LHDは、ヘリオトロン型磁場配位を用いた世界最大の超伝導大型核融合実験装置である。LHD本体、加熱機器、計測機器など多くの試作開発及びそれに続く実機製作、設置が、ほぼ計画通りに進み、平成9年12月にLHD本体を完成させることができた。平成10年度にはLHDの初期プラズマの生成以降、3回の実験サイクルを行った。第1サイクル実験では磁場1.5Tにて84GHz(実入力200kW×2)のECH実験でTe>1keVのプラズマを得ている。第2サイクル実験では磁場2.75TまでにおいてECHに加えて3.5MWのNBI加熱実験(100keV, 1-20s)、及びICRF加熱予備実験が行われTe,Ti>2keV、Wp〜430kJ、平均β〜1%、τE〜0.2sが達成され、本格的なプラズマ実験が順調に滑り出した。第3サイクルでは以下に示すようにこれらの値を凌駕するパラメータが達成されている。図3.1-2は、これまでに得られた全てのショットの蓄積エネルギーをショット番号の関数として表しており、プラズマパフォーマンスがサイクル毎に良くなって行く様子を端的に示している。

高温度プラズマ
高閉じ込め
最大蓄積エネルギー
最高べータ値
Te(0)=4.4keV, Ti(0)=2.7keV, ne ; 0.5×1019m-3,Pabs=1.8MW
τE=0.3s, ne=6.5×1019m-3, Te(0)=1.1keV, Pabs=2.0MW
Wp=0.88MJ
<β>=2.4%/B=1.3T, 到達密度 : n=1.1×1020m-3
図3.1-2 これまでに得られた全てのプラズマの蓄積エネルギーとショット番号の関数

 高温プラズマ生成のため、真空容器表面の放電洗浄(第1サイクルでは2.45GHzECR放電洗浄、第2サイクルではグロー放電洗浄を中心に壁のコンディショニング)を主としてヘリウムを用いて行った。第3サイクルでは高加熱パワーに備えてカーボンタイルのダイバータ板を設置しており、金属不純物(鉄)の抑制に有効に機能した。また他の装置の場合と同様にチタンコーティングするとプラズマ中の酸素イオン密度が大きく減少する。第1-3サイクル実験を通じて、ショットを重ねるごとに蓄積エネルギーの増加傾向が見られたがこれは、NBIの入射パワーが増えていることに加えて上記の壁のコンディショニングが進んでいるためであった。

 NBIによる加熱実験は、84GHzと82.6GHzのECHパワーによりターゲットプラズマを生成し、これにNBIを入射することによって行っている。また壁の状態が十分良好な場合は、NBIのみによるターゲットプラズマの生成が可能であることがわかり、運転可能な磁場領域の制限がなくなった。これを利用して低磁場高べータ実験を既に行っている。NBIは水素のビームを用い、ターゲットについては水素とヘリウムプラズマの2とおりを使用している。
水素プラズマでは、LHDのステンレス真空容器壁との相互作用の度合いが強く、ガスパフ等による密度制御が容易でなくプラズマ蓄積エネルギーが増大しにくい面があったがヘリウムプラズマの場合、高密度プラズマを比較的容易に実現でき、制御・維持が容易である事が判明、した。水素プラズマでは密度減少時には、壁がプラズマ周辺で荷電交換したややエネルギーの高い中性水素原子を物理吸着機構によりポンプするためグローバルなリサイクリング率が1より小さくなっているものと考えられている。これを克服する方策としてペレット入射により中心部に粒子を注入する実験を行っている。その結果高密度水素プラズマそして高蓄積エネルギーが安定して達成できるようになってきている。

 NBI加熱実験に加えて、RF加熱実験も鋭意行っている。ECH加熱では、900kWの入射パワーで100kJの蓄積エネルギーを達成しており、またICRFと組み合わせて加熱をすると低密度(5×1018m-3)ながら中心電子温度は、4.4keVまで上昇している。ICRF速波加熱実験では、ループアンテナを使用し200kJ、5秒単独加熱運転に成功しており、またNBI加熱プラズマヘの重畳実験では、蓄積エネルギーが150kJの上昇を示し、またICRF加熱効率は、NBIと比べて遜色ないことも証明した。

 MHD特性については、平均β値は既に2.4%に達しており、弱い磁場揺動は、既に観測されているが閉じ込めに影響を与える巨視的な不安定性は観測されていない。

 ヘリカル型の閉じ込めに関しては、既存ヘリカル装置の実験データに基づいて国際協力で作られたステラレータースケーリングISS95があり、LHDで得られたエネルギー閉じ込め時間のパラメータ依存性はこのスケーリング則とよく一致している。図3.1.3はこれまで得られたデータを、国際熱核融合実験炉(ITER)設計に公式採用されているトカマクHモードのデータと合わせて、ISS95と比較したものである。内寄せ(Rax=3.6m)配位では、絶対値がこのスケーリング則よりも60%程度系統的に良く、優れた成果であるといえる。
また閉じ込め時問は、0.3sを越えた放電もあり、今後の本格的な加熱実験が期待される。閉じ込め実験の重要な課題は、プラズマ周辺部の物理量の制御による閉じ込め改善である。LHDのプラズマでは急峻な温度勾配を持つペデスタル構造が既に実現されていることが観測されている。横長断面の場所で観測されたトムソン散乱による電子温度分布を縦長断面部に換算すればペデスタル巾は〜6cm、周辺部の輸送係数が小さくなってその電子温度は最高値で1.3keVにも達している。

今後、加熱パワーを飛躍的に増力し、更に温度の高いプラズマを目指すとともに周辺部制御等で閉じ込めの改善を図る実験が行われる予定である。

図3.1-3 エネルギー閉じ込め時間の実験値とlSS95からの予測値の比較
トカマクについてはlTER H-mode Database3, Ver.5から引用



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