2.10 径電場測定

 LHDにおいて0.4-1.0×1019m-3の低密度のNBI加熱プラズマにおいて,イオンルート(負電場)から電子ルート(正電場)への遷移が観測された。電場は荷電交換分光によるネオン不純物のポロイダル回転とトロイダル回転さらに圧力勾配から径方向の力の釣り合いで求められる。
トロイダル回転はトロイダル粘性の為に10km/s以下にまで減衰し,反磁性ドリフト速度の影響はネオンの電荷数Zが大きい為に小さく,径方向の力の釣り合いにおいてこれらの項は無視できる程小さく,電場はおもにポロイダル回転で決まる。LHDのNBI加熱プラズマにおいては,1×10-9m-3以上の高密度では電場は負(イオンルート)であるが,1×10-9m-3以下の低密度にすると,プラズマ周辺部において,電場が正(電子ルート)に変わる。図2-13は磁気軸3.75mで磁場強度0.75,1.5,2.5TのNBI加熱プラズマの端(ρ=0.9)の電場の密度依存性である。
この実験では中心イオン温度は0.6keV(0.75T)から2.0keV(2.5T)で中心電子温度に近く,0.7倍から1倍程度である。電子ルートでは密度の減少に伴い,0.4×1019m-3の密度で端の電場は15kV/mまで大きくなるが,イオンルートでは密度を変化させても,広い密度領域(1-3×10-9m-3)で電場はほぼ一定で-5kV/mである。電場のイオンルート(負電場)から電子ルート(正電場)への遷移現象が観測される領域は規格化平均半径で0.8から外側の部分であり,プラズマのコア部では大きな電場は観測されていない。ヘリカルリップル損失がより小さい磁気軸3.6m配位にすると温度は上昇し,この電子ルートで観測される端の正電場はよりプラズマの内部(ρ>0.6)に広がるが,電場の強度は磁気軸3.75m配位に比べ1/2-2/3程度に減少する。

 観測された電場を新古典理論との予想値と比較した。観測された電子密度温度,イオン温度分布を使って,新古典理論の電子とイオンの流東の釣り合いから電場を計算した。図2-13(a)で示されているように低密度では電子ルート,イオンルート,不安定解の3つの解が存在するが,密度が高くなると五つの解(イオンルート)しか存在しない。この3つの解が存在する密度領域において,実際にイオンルートから電子ルートヘの遷移が観測された。図2-13(b)で示されているように,電子ルートにおける新古典理論の電場もプラズマの周辺部にいくに従って大きくなっており,観測されたものと定性的な一致を示している。ヘリカルリップル損失の抑制が期待される電子ルートの達成がNBI加熱のイオン温度と電子温度がほぼ等しいプラズマで得られた事は注目すべきである。

図2-13 NBI加熱プラズマの
(a)ρ=0,9における電場の密度依存性と
(b)イオンルートから電子ルートヘの遷移領域(ne(0)=0.6-0.9×1019m-3)における電場の空間分布
新古典理論で予想される電場が破線で示されている



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