2.11 ダイバータ熱・粒子分布

 第3サイクル実験においては、昨年までの実験と同様、自然に備わるオープンダイバータ配位での実験が行われた。これまでのステンレス製ダイバータ板に換えて、新たに等方性黒鉛製のダイバータ板が設置されたことにより、プラズマ中の金属不純物、放射損失の減少が得られた。
ダイバータプラズマ計測は主に静電プローブにより行われた。トカマク装置とは異なり、LHDの自然に備わるダイバータは3次元構造を有しており、ヘリカル方向にも非一様である。また、磁気軸の位置によってもその構造は変化することが磁力線追跡計算から分かっている。ダイバータトレースは単純なシート状ではなく、場所によっては磁カ線の畳み込み構造が数cmの空間的スケールで広がったままダイバータ板に接続し、ダイバータ板上の磁力線長分布に複数のピークが見られている。
昨年までの実験ではトーラス内側1ヶ所にのみ静電プローブアレイを設置していたが、第3サイクル実験ではヘリカル方向4ヶ所に静電プローブアレイを埋め込んだダイバータ板を設置し、ダイバータプラズマ分布についてより多くの情報を得ることができた。ダイバータ粒子束ポロイダル分布の、異なる磁気軸に対する変化は、擬似的に単純な粒子拡散を考慮した磁力線追跡計算と定性的に一致した。
さらに、高β実験において観測されたダイバータ板上の粒子束分布の変化は、有限βの効果を考慮した磁力線追跡計算結果と定性的な一致を得ている(図2-14)。各静電プローブアレイで計潮された電子密度、温度はやはり場所により異なるが、それぞれ0.1-5×1018m-3、 5-40eV程度である。
それぞれのダイバータ板に接続する磁力線の経験する領域が異なる可能性があり、今後周辺プラズマの電子密度、温度の詳細な計測とあわせて解析することにより、周辺プラズマからダイバータ板へ至る熱及び粒子輸送を明らかにすることができると考えられる。第3サイクルでは燃料ペレット入射により1.2×1020m-3、ガスパフにより1.0×1020m-3をそれぞれ超える線平均電子密度を得ているが、ダイバータ電子密度はほぼ線平均電子密度に比例して上昇しており、ダイバータトカマクにおける高リサイクリング運転時やデタッチメント時のような強い平均電子密度依存性は現在のところ見られていない。この点については、今後加熱パワーの増大とともにその振る舞いも変化する可能性もある。

図2-14 (a)高β実験時のダイバータ板上の粒子束分布
(b)磁カ線追跡計算結果(磁カ線接続長分布)β=0%
(c)磁カ線追跡計算結果(磁カ線接続長分布)β=22%



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