4.1.2 磁場構造、平衡やMHD安定性

 ヘリカル系のプラズマの磁場構造は複雑であり、理論のモデルによって始めて磁場構造が理解できる。

 真空磁場を計算する手法が開発され、計算コード群の整理が進んでいる。モデルと解法が確立している問題の例としてLHD内の真空磁場中での高エネルギーイオンの運動を図4.1に図示する。こうした計算結果に基づき、観測結果からプラズマ全体での粒子分布や磁場分布を推定できる。

図4.1 LHD内部の高エネルギー・イオンの軌道を示す。真空容器やICRF波のアンテナも併せて示す。

 プラズマの圧力が高くなると、プラズマの圧力効果で磁場が変型され、実際の磁場が如何になるか理論解析による評価がいっそう重要になる。そしてその変化によって磁場の閉じ込め効率(粒子の絶対捕獲、磁気面破壊の可能性など)が変わるので、その変化の研究は重要である。例えば磁場閉じ込めにとって本質的な回転変換の観測を考えてみよう。その定義は

と与えられる。非軸対称系のプラズマでは、磁気Bp(r, θ, φ)が半径だけでなくポロイダル角・トロイダル角の双方にも依存するから、どこか一部で半径方向の磁場分布を測ったとしても全体を再構成するのは不可能である。理論解析の結果とあわせることによって評価が始めて可能になる。

 ヘリカルトーラスのMHD平衡を記述する際に導入された平均化法が磁気面の乱れを記述するのに有効であることが立証されてきている。これをさらに発展させて、磁気面の有無に無関係に定式化できる座標系を構築し、解析を進めている。

 磁場構造やプラズマ平衡の研究に必要なコード群が整備されており、LHDへの適用もすすめられた。一例を図4.2に示す。自由境界のプラズマ解析に主眼を置き、外部キンク・モード、交換型モード等の安定性をブートストラップ電流、大河電流の存在する自由境界の条件下で研究している。プラズマの圧力を例えばパラボラ分布と選び、圧力が上昇する時にプラズマの分布がどのように変化するか予測している。線型安定性の解析は集中的に進められて、β値とともにどのような摂動が不安定になるか示されている。巨視的な摂動については、モード数などの定性的な値の予言は実験により検証された。今後は、解析で求められたモード構造をもとに実験でのプラズマ変型観測についても提言をすすめる。

図4.2 LHDでのMHD解析例。圧力の増加とともに、プラズマは移動する。安定性解析の結果、様々なモードが順次不安定になる事が示される。

 ヘリカル系に平均化法は有力であるが、平均化された2次元コードでは計算できないバルーニング・モード及びバルーニング的交換型モードの安定性解析も必要である。このために、CAS3Dコードの新しいアルゴリズム開発により計算時間の大幅短縮をおさめた。本コードの開発をさらに進めるバルーニング・モードの解析も進めている。

 直接シミュレーションでも解析を行っている。「HINT」コードを線形MHD安定性及びその非線形発展の計算が出来るように発展させている回主として有限べータ時の磁気島生成や、低波数の交換型モード及びバルーニング・モードの自由境界条件下での非線形発展の研究をめざしている。

 ローカルアイランドダイバータ(LID)実験に関連して有限べータの場合のm=1の磁気島生成の計算を行うことが出来た。この解析結果に立って・今後実験との対比を行う予定である。

 プラズマのダイナミックスの様々な側面を磁気流体的描像で把握することができるが、しかし巨視的な変動に対して高速粒子とMHDモードの相互作用が大切になる場合もある。理想MHD安定性に対する運動論的効果を取り入れバースト・モードの機構を研究している。CHSの実験において、TAEモードやバーストモードなどの研究が進んでいるが、LHDにおいてもNBI入射時に同様の物理現象が重要になる。少数のモードのみが励起される場合、準線型理論は有効であるが、ビーム入射されたヘリカル系に起きるアルフベン周波数帯のバースト現象の解析も進められている。将来LHDの精密計測が進展していく時の理解に資する事ができる。




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