4.1.3 新古典輸送理論とプラズマ加熱

 個々の荷電粒子の運動が独立と考えて重ね合わせで輸送現象を評価する新古典輸送理論や加熱の解析も積極的に展開している。

 新古典輸送理論は定式化の済んだ理論とする見方もあった。しかし、さらなる拡張と発展が必要であり、その研究を精力的に進めている。新古典輸送理論の基礎的な仮定として、粒子軌道の磁気面からのずれが小さい事、速度空間での減速が(実空間での移動時間にくらべ)十分速い事が仮定されている。しかし、こうした仮定がみたされない事がしばしばある。

 H-mode現象では急峻な勾配がプラズマ周辺に形成され、勾配長と粒子軌道の磁気面からのずれが同程度になる事の重要性が指摘され、それがトカマクのような軸対称系でも電場分岐をもたらすとの創見に結びついた。その後多数の閉じ込め改善モードが観測されて以来、軌道のずれが大きい場合への拡張の重要性が広く認識されている。速度空間での減速が実空間での移動時間と同程度になることもヘリカル系ではしばしぱ起こりうる。これらの間題に解析手法・モンテカルロ数値計算などの多方面から活発に取り組んでこの一年間に種々の成果を上げている。

 こうした物理的理解の進歩にあわせ、モンテカルロ・コードによる高周波加熱入力分布及び高周波加熱に伴う輸送の研究に活かしている。高エネルギー粒子軌道の磁気面からのズレが大きいためモンテカルロ解析を行う。そして実験でのNBI加熱分布を信頼性高く評価する事を可能にした。実験で得られるデータの輸送解析にとって正確な加熱入カ分布を求めることは重要なことであるが、これらの成果によってそれが可能になった。
位相空間(5次元)の分布関数を直接計算するGNETコードを整傭した。詳細な計算の例を図4.3に示す。図は、LHDのNBI入射実験を対象として、高エネルギー粒子のプラズマの中の速度・空間分布を同時に求めた成果である。その求められた分布を使い、中性粒子分析器で観測されるスペクトラムを図示している。太い実線は新しい計算繕果であり、実験データを重ねて示す。エネルギー分布に観測されたくぼみがエネルギー分布の欠損を示すのではなく、観測機器の幾何学的性質によるということも、この解析で明らかにされた。今後はこうした詳細な解析をもとに、プラズマの内部の高エネルギーイオンの分布に関する観測の理解が一段と深まると期待される。

 実験の輸送解析にとって加熱入力分布の評価だけでなく高エネルギーイオンの圧力分布も重要である。各ショットの平衡とプラズマの空間分布を求めるために必要な入射NBIの作るビーム平衡圧力と加熱入力分布を種々のパラメータに対し計算し、データベース化もあわせて行っている。

図4.3 LHDにおけるNDDカウント数の計算と観測の比較。密度が1.5x1019m-3の場合(左)および0.7x1019m-3の場合(右)。実線がGNETコードによる新しい理論解析結果。点線は2次元の簡単化コード計算。



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