4.1.4 微視的安定性と乱流輸送

 線形安定性の解析は異常輸送の理解のための基礎的なステップである。線形安定性の計算手法自身はかなり確立されている。他方、不安定性はプラズマの不均一性が源となって起きるので、複雑な配位や分布がどのように安定性に影響するか検討しておく事は、LHDプラズマの理解のための必要な研究である。

 LHDプラズマの周辺部に存在する磁気丘に関連して不安定化されると考えられる抵抗性交換型モード等の低抗性MHD不安定性の特性を調べている。流体モデルで表現できる不安定性だけでなく、高温な波と粒子の相互作用が重要になりうるような状況での不安定性にも研究を進めた。バルーニング・モードやイオン温度勾配モードも解析した。LHDのプラズマを内側に寄せた時に磁場配位は磁気丘となる。
磁気圧はこれらのモードを不安定化する。しかし、ヘリカルリップルがあると、磁力線にそって磁場の勾配が短い周期で変わるようになる。すると強収束の原理のように安定化に寄与することがわかった。

 ブラズマの強い乱流理論を抜本的に推進した。一例として自已維持乱流の非線形理論を展開し、電流拡散型乱流による異常輸送の理論を進めた。従来、線形不安定性が発達して定常乱流状態になると考えられてきたが、閉じ込めプラズマではそうとは限らず、線形安定な状態であっても強い乱流が発達しうる事を示した。そういう乱流輸送の研究を進めた。

 これらの研究の結果、プラズマの微視的安定性や乱流レベル、また乱流によってもたらされる輸送流束は、圧力勾配が強くなればなるほど高くなり、いわゆる閉し)込め時間の加熱パワーに伴う劣化を説明する事ができる。かねてこの理論手法をトカマク・プラズマに適用した結果は、実験結果の理解を進め、ITERなどの将来の実験を評価する場に用いられてきた。その成果に立ってLHDでの実験観測との比較を今後進める予定である。

 乱流輸送係数が圧力勾配だけでなく、他の不均一性、例えば径電場の不均一性や磁気シアに強く依存することも示し、以下に述べる閉じ込め改善理論の基盤になっている。

 乱流理論からLHDの磁場構造を推測する応用も可能なのでそれを示す。磁場構造を直接計測することが難しく平衡コードなどとの比較を通じて評価していかねばならない事を前に述べたが、特別な磁気面がわかれば評価がより正確になる。もし巨視的MHDモードが不安定になりそれを観測すれば、共鳴する有理面の位置を評価できる。微視的揺動を観測することで新たな実験的評価が可能になることを示した。
LHDプラズマが内側に寄せられた場合、磁気丘配位になるが、そこでプラズマ電流が流れて磁気シアの符号が変わるような場合、dq/dr=0を満たす磁気面の近傍に強い揺らぎが集中する事が予言される。(図4.4)波長の短い揺動の分布を測ることで、磁場構造を評価する新しい方法として提唱した。

図4.4 磁気シアがゼロになる磁気面γminをもつ磁場の回転変換分布(左)。その磁気面近傍に揺動が集中する事を示す乱流理論の緒果(右)。



戻る




Copyright © 1995-2018 National Institute for Fusion Science. All rights reserved.

このページに関するお問い合わせは までお願いします。