4.1.5 電場分岐と改善閉じ込め

 径電場はヘリカル系では粒子閉じ込めや新古典輸送に強い影響を持つのでその重要性は広く認識されている。LHDでもいわゆる無衝突領域のプラズマ閉じ込めが行われていて、かつて懸念されていた無衝突領域での新古典輸送による強い閉じ込め劣化は認められていない。CHSやW7-ASでもそうした事実は認められていたが、径電場の重要な役割を示している。それだけでなく、電場構造によっては乱流輸送を抑制する事も起こりうることが予言されている。こうした重要な研究動機により、精カ的に電場構造の研究を推進している。

 新古典輸送理論の枠内での電場形成機構の解明に加え、揺動による電場形成なども検討し、電場分岐の発生、空間構造や時間変化を総合的に研究している。

 実験での回転の観測による電場計測の結果との比較を進めるため、ヘリカルプラズマでの新古典ポロイダル方向粘性とプラズマ回転を定式化し、LHDでのプラズマ回転の理解を進めている。

 強い乱流理論による電流拡散型乱流による異常輸送の評価によると、ヘリカル系で輸送の抑制が起きる条件として

が導かれる。ここでは圧カ勾配と磁場強度勾配の積で、不安定を生みだす源の強さを反映する。非平衡系を特徴づけるパラメタである。

 また、電場分岐の理論やならびに電場界面の理論とも結び付け研究している。電場を定める方程式は非線型分岐を持ち、多重解を持つ。そこで自発的に強い正の電場や負の電場を生み出す。正の電場を持つ領域と負の電場を持つ領域がある磁気面を境に触れあうような状況が起きる。それを電場界面と呼ぶ。(アナロジーを述べると、磁性体では、ある領域が自発的に磁場を生じ磁区(magnetic domain)をなす。異なる方向の磁場を持つ磁区同志の境が自然にうまれる。磁区と磁区の境では、急に磁場の方向が変化している。電場界面もそれに似た状況である。)

 電場界面では電場勾配が強く、乱流抑制が起きうる。そこで電場界面を探す事は、内部輸送障壁をヘリカル系で検討する指導原理である事を提唱してきた。CHSでの解析結果は図4.5に示すとおりである。この解析と比較の結果から、理論による指導原理の有効性が示された。その成果に立って、解析をLHDの場合に拡張した。結果を図4.5(下)に示す。今後加熱パワーの増強や実験領域の拡張によってLHDでも内部輸送障壁が観測されるであろう。

図4.5 CHSでの電場界面がr/a=1/2の磁気面に形成される条件の解析結果(上)。実験で電場界面と内部輸送障壁が観測されたパラメタ領域をハッチで示す。LHDへの応用結果を示す(下)。

 電場のシアだけでなく、磁場配位も改善閉じ込めの要素である。磁気シア制御による機構も考慮するなど、改善閉じ込めのアイデアを創案している。いままでの異常輸送の理論は、微視的な揺動による乱流輸送によってモデル化が進められてきた。しかし、プラズマの遷移時の応答や周期的加熱への応答から、単純な拡散過程だけでは表せない要因が異常輸送には含まれていることが認識されている。非局所的輸送のモデルを用いて輸送実験の総合的理解を進めるとともに、実験の検討も推進している。




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