4.2.3 電場界面と構造形成・分岐

 非線系輸送過程の結果、プラズマには種々の構造がうまれるが、特に径電場はヘリカル系に重要である。電場構造や異なる電場の領域が接する電場界面(図4.6参照)の存在やELMsやpulsationをモデル化するダイナミックスを予言している。それは閉じ込め改善の実験にも寄与している。

図4.6 電場が急に変化する界面の概念図。プラズマ・パラメタが条件g=g*を満たすところで界面が生まれる。プラズマ断面を右に示す。白く示した領域g1<g<g2では、径電場は三つの値を取りうる。しかし、実際は面(g=g*)を境にしてその値が変化する。

 普通乱流のスケールは微細であり、勾配長はプラズマ小半径程度と考えるのが従来の見方であった。.しかし、この電場界面を例に見るように、プラズマではプラズマ小半径よりずっと短い勾配長をプラズマが自発的に構成する。こうした急峻な勾配を持つ構造をmemo scale構造と呼び、プラズマ構造形成の重要かつ本質的な性質である事を示し、プラズマ物理の新しい研究領域を拓いた。

 プラズマの界面形成と乱流抑制カがCHSプラズマでの内部輸送障壁発見を導いた事、LHDについても理論をすすめている事、など核融合を目指した高温プラズマ研究に大きな寄与を持つ事は前段で述べたが、ここでは学術的意義を強調したい。

 この理論研究ではその独創性が内外から高く評価されてきたが、普遍的な学術研究を展開していることも指摘しておきたい。元来H-mode(最も代表的な改善閉じ込めモード)は全く研究者に予想されることなく出現し文字通り「発見」されたのであるが、その理論機構として電場分岐理論が提案された段階では理論の思弁によって構成された。まず、実験結果を帰納し特徴として遷移性を抽象した。
それと平行し遷移性をプラズマで持ちうる機構を思弁的に構成した。この思弁理論の結果、「径電場」がカギを握ることが理論的に予言された。この予言は、まずH-modeでの強い径電場が実験で観測され、この1,2年の極最近にH-mode遷移時に径電場が急速に遷移することが確認されるに至った。他方、径電場の分岐が輸送障壁をもたらすとの仮説を選ぶと、ヘリカル系のプラズマの径電場を解析し、演繹的に、輸送障壁発生の状況を予言することができる。
その予言は、やはりこの1,2年の極最近にCHSに於ける内部輸送障壁の発見を導き、物理の理論として検証された。

 この研究の流れを見ると、実験による発見、帰納による抽象化、理論の考察による思弁理論の提案、実験による検証、理論の演緯によるより十般的な場合への予言、実験による発見・検証、という道筋を辿っており、個々の研究が普遍性を獲得しながら学術として体系化されていくことを示した。プラズマ物理が現代物理を開拓しているその一つの典型例といって良い。




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