4.2.4 乱流状態の統計カ学

 異常輸送の研究は一般的な乱流状態の統計力学を拡張する端緒を得た。乱流状態にあるプラズマでは非常に大きな自由度のダイナミックスが発展しており、極めて多数の正のLypunov指数を持つ。その場合、一つのモードを選択すると、他の多数の自由度での励起により複雑な非線形作用を受ける。この複雑な力は、多数の正のLypunov指数の存在により、平均すると残る作用と、乱雑な彩響を与えるものという二つの成分に近似できる。前者は、乱流粘性などとしてかねてより解析されているが、後者の乱雑項を同時に評価することで、統計力学を構成する事ができた。
そして揺動散逸定理の拡張や乱流場の確率分布関数などを評価することができる。その場合、乱雑力が乱流レベルに依存するので、ガウス分布とはかけはなれた確率分布が得られ、極限としてべき分布が導かれる。またいくつもの準定常乱流状態があるとき、その状態間の遷移確率も求められた。

 熱平衡に近い状態での非平衡統計力学はかなり確立した物理をなすが、遠非平衡系の物理学は将来の展開が求められている。この新しい統計力学による閉じ込めプラズマの乱流輸送の研究成果は、プリゴジンの原理の拡張や遷移確率に関するアーレニウスの法則を拡張するなどの結果を得ており、その成果を表4.1にまとめて示す。理論の完成には道はまだ遠いが、明確に進展を始めた事を強調したい。一般物'理の抽象的な理論としての価値も高い事を指摘しておきたい。

表4.1 不均一プラズマの強い乱流(Current-diffusive interchange mode乱流)に対して統計力学の法則が展開された。
その結果を、従来の熱平衡系やそれに近い非平衡系の統計力学の原理と比較する。
(S.-I. Itoh and K. Itoh: "Statistical Theory of Subcritically-Excited Strong Turbulence in Inhomogeneous
Plasma-I, -II, -III, -IV":J. Phys. Soc. Jpn. 68 (1999) 1891; 2611; 69 (2000) in press; in press.に基づく。 )

熱平衡系・近非平衡系 遠非平衡系
Basic Assumption Stosszahl Ansatz;
1/Ω -expansion
Large degree of freedom with
positive Lyapunov exponent
Damping Molecular viscosity
Nonlinear (eddy) damping
Micro vs Macro μmicromacro
Onsagar's Ansatz
Scale-dependent
Excitation
(random)
(coherent)

Thermal excitation
      -

Nonlinear drive
Instability drive
Decorrelation Rate γc Nonlinear deqorrelation λ1
Balance FD Theorem
Einstein's relatioh
Extended FD Theorem
I〜(nonlinear noise / nonlinear docrrrelation)
Partition Equi-partition
Nonlinear Balance
Probability disinbutionfunction Boltzmann
Effective potential, i.e.,
integral renorm, dissipation
Min./Max. principle Maximum Entropy/
Minimum entropy
production rate
S(E) minimum
Phase boundary Maxwell's construction S(EA) = S(E.B)
Transition Arrhenius
probability power law



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