5.1 ポテンシャル分布の分岐

 現在までのプラズマ実験において電位計測を行った結果、様々な分岐状態が電位計測から観測されている日。特に、ECR加熱プラズマではいくつかの特徴ある電位分布が加熱パワーと密度領域に応じて観測されている。低密度領域では3つの不連続に変化する分妓状態が見つかっている。そのうちの一つのパターン(後に述べるドーム型)は電子の熱輸送障壁を伴っていることが確かめられており、将来、核融合の応用上重要と考えられる。こうした分岐状態がどのような領域で観測されるがを系統的に理解するための初期的な実験を行った。

 ECR加熱パワーを100kWに固定して密度を変化させていった時の中心電位の変化を図5.1(a)に、また対応する領域での電位分布の形状を図5.1(b)に示した。図からわかるように、ECR加熱プラズマの電位分布に現われる分岐のパターンは、密度の関数として、5つの特徴的なパターンに分類することができる。密度の低い方から、それぞれの形状にちなんで、釣り鐘型、ドーム型、丘型、メキシコ帽型、井戸型と名付けている。この内、釣り鐘型、ドーム型、丘型、の3つの状態は、互いに不連続に変化することが可能な分岐状態と考えている。

図5.1 (a)電位分布の分岐パターンが現れる密度領域を示す分岐図。
(b)電位の分岐パターン。左図中の矢印は分岐パターンが特徴的な変化を示す臨界密度。それぞれの分布を(A)釣り鐘型(B)ドーム型(C)丘型(D)メキシコ帽型(E)井戸型分布、と呼ぶ。

このことは図5.2に示した自励振動状態の観測によって裏付けられる。図5.2の自励振動では、プラズマは3つの状態を不連続に行き来している。その間加熱パワーは一定であり、また有為な電子密度の変化は観測されていない(中心0.2kV, 0.5kV, O.8Vの状態が、それぞれ丘型、ドーム型、釣り鐘型の状態に対応している)。それゆえ、釣り鐘型、ドーム型、丘型の三つの状態は、低密度領域での分岐状態と考えられる。

図5.2 自励振動の例。放電の初期において、プラズマはドーム型と丘型の電位分布パターンの状態の遷移を繰り返している。放電後半にプラズマは鉤り鐘型分布に遷移する。

 また、ドーム型の分布については、電位分布に折れのある径点で強い電場シアーがあることがわかる。詳細な計測の結果シアーの強さは40V/cm2程度であり、その場所で揺らぎが減少していることが観測されている。そして、その結果、輸送が改善され温度勾配が急峻となり、中心電子温度が2keVに達していることが確認されている。図5.3にドーム型の電子温度分布と、比較のために丘型の電子温度分布を示した。釣り鐘型の状態でも、電場のシアーという点では60V/cm2程度の強さをもち輸送障壁が形成されている可能佳がある。より外側に位置している点で更に有望分岐状態である。また、この電位分布での折れの存在する空間位置が不連続であることが推測され磁場の有理面との関わりが予想されている。将来の研究課題の一つである。

図5.3 CHSの輸送障壁の形成。(左)輸送障壁がある時とない時の電位分布。
(右)輸送障壁のある時とない時の電子温度分布。矢印は電場界面の位置。



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