5.2 自発的トロイダル回転

 径方向の力学的な釣り合いを考えると、圧力勾配が十分に小さいならば電場は磁場と垂直方向のプラズマの流れと関係付けられる。それゆえに、電場の変化に対応して磁場に平行なプラズマの流れがどのように変化するかは興味ある問題である。最近の実験で、NBIプラズマにECR加熱を重畳したときのブラズマの流れの変化を観測し、いわゆる自発的トロイダル回転に関する新しい結果が得られている。

 一般には(Lモードプラズマでは)、正電場ではイオン反磁性方向のポロイダル回転、負電場では電子反磁性方向のポロイダル回転が観測され、トロイダル回転は常に中性粒子ビームの入射方向と同じ方向のものが観測される。第2高調波電子サイクロトロン加熱(0.12MW)を低密度(5×1012-3程度)のNBI加熱(0.7MW)プラズマに加えるとき、密度が低い領域では電場の極性は負から正に変化する。このとき、中性粒子ビームの入射方向(co-injection)と反対方向にトロイダル回転が変化するのが観測された。電場の極性が変化するために径方向の分極電流が誘起されポロイダル回転が反転する際、磁気粘性の働きによってトロイダル回転が反転するものと解釈できる。なお、プラズマ中心においてもトロイダル回転は逆転する。この変化の大きさはターゲットとするプラズマの電子密度に依存している。図5.4に一連の実験結果を示す。

 考察を進めると、観測されたプラズマの流れの方向は磁場強度の変化が最小となるヘリカル方向に近いことが分かった。これは電場と矛盾ないプラズマの流れが作られる時に、プラズマができるだけ粘性の小さいヘリカル方向に流れようとする為であると解釈できる。また、このときの実験では、ECR加熱を重畳した後、0.1MW程度のパワーの入射にも拘わらず電子温度は増加しHot Electronモードと呼ばれる高電子温度(2-3keV)のプラズマ状態が実現されている。

図5.4 2倍高調波ECHを加えた放電(黒丸)と加えない放電(白丸)に対する(a)中心の電子温度と密度、(b)r=0.38におけるポロイダル回転速度、(c)中心トロイダル回転速度の時間変化と(d)t=70ms, 140msの電子温度、(e)t=110msのポロイダル回転速度、(f)t=110msのトロイダル回転速度の空間分布



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