5.4 計測用中性粒子モジュレーションビームを用いた荷電交換分光(Dig-Dag法)の開発

 プラズマ中の不純物イオン(He, C, O etc)と中性粒子との荷電交換再結合により発する光のスペクトルからイオン温度、プラズマの流れを計測する荷電交換分光は、これらの計測に対するもっとも信頼度の高い手法の一つである。局所値を得るには中佳粒子ビームを用いて、そのビーム路からの発光を利用できる。ただし、プラズマ周辺部の“冷たい”中性粒子との荷電交換による寄与を分離する必要があり、そのために別の最高1kHzのモジュレーションが可能な計測用中性粒子ビーム(DNB)を用いる手法の開発を進めてきた。モジュレーションのかかったスペクトルをCCD検出器の単一フレーム上で記録するために、「Dig-Dag法」なる冷却CCDの制御方法を発案した。

 DNBのon-offに同期して、CCDの電荷を空間方向に上下させ、DNBがon時とoff時のスペクトルの空間分布をCCDの空間方向に“互い違い”に露光させる。それらの差をとることによって、精度のよい背景光の除去が可能であり、“純粋な”DNBとの荷電交換による発光のスペクトルが得られる。将来、電子の輸送障壁が観測された状態で、この測定を用いイオン温度分布についても輸送障壁の有無を調べることを計画している。

 本手法の第一の利点は、NBI加熱のない放電においてもイオン温度、および径電場の空間分布を計測できることである。CHSでは100msのECHパルス放電において、DNBに83.3Hzのモジュレーションをかけた(図5.7)。電子温度、密度等のバルクパラメータには影響を与えることなく、炭素ラインの発光強度のみ変調がかかっている。この発光の差をそれぞれの空間位置において記録することにより、純粋なECH加熱プラズマにおけるイオン温度分布を計測することに成功した(図5.8)。

図5.7 光電子増倍管による炭素の荷電交換ライン(5290.5Å)強度の時間変化。DNBのON-OFFに同期してビームラインからの発光に変調がかかる。ビームOFF後の発光強度減衰はサンプリング時間(200us)以下であり、CCDに記録されるONとOFFのスペクトル同土のクロストークはないことが確認されている。
図5.8 CHSにおいて始めて測定されたECH放電におけるイオン温度分布。中心のみトロイダル方向の光学系によるものによって測定(他はポロイダルアレイ)されている。

 一方、LHD等の大型装置の場合、ビームの加速電圧が高いため、荷電交換断面積が小さくなり、発光強度は微弱になる。本手法はトロイダル非対称性、光学系の非均一性の影響に依存せずに背景光の除去ができるため、時闇積算によってS/N比のよいスペクトルが得られる。CHSでは予傭実験として、ヘリウム放電において、NBIとヘリウムとの荷電交換によるラインを利用した計測を行った。
ヘリウム放電はLHDにおいて恒常的に行われているが、背景光用光学系を用いる手法では、背景光のトロイダル対称性の悪いヘリウムラインでの測定は困難である。しかし、本手法を適用することにより、測定が可能である。水素放電においても適度なヘリウムガスパフ等によってドープすることで適用可能と考えられる。




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