2.2 大型ヘリカル装置計画の目的と基本構想

 大型ヘリカル装置はヘリカル型の磁場装置により新しい領域の無電流プラズマを発生し世界に先駆けてヘリカル方式の炉心プラズマのための重要な物理的、工学的研究課題を解明することを目的とする。核融合プラズマの閉じ込め開発を目指すヘリカル型装置の研究開発ステップ、即ち、(a)10-100eV基礎研究段階、(b)高温プラズマ(1keV)閉じ込め原理実証(proof of principle)段階、(c)炉心に近いプラズマの閉じ込め実現、(d)自己点火燃焼実験、と進めるステップの中で(c)の段階の役割を担うべき装置として大型ヘリカル装置は位置付けられる。

重要な研究課題としては、

(i)高mETプラズマを発生し、炉心プラズマに外挿しうる輸送の研究を行うこと、
(ii)平均β値5%以上の高βプラズマの実現とその物理の研究、
(iii)ダイバータ設置と準定常プラズマの制御実験を行い、定常運転に必要な基礎資料を得ること、
(iV)高エネルギー粒子の振る舞いの研究とα粒子シミュレーション実験牽行うこと、
(V)トカマクとの相補的研究によりトロイダルプラズマの総合的理解を深めること、

をかかげている。

 以上の目的を達成するために大型ヘリカル装置で目標とするプラズマパラメーターは
高nτTモード ; <T>=3-4keW<n>=1020m-3, B=4T、τE=0.1-0.3s
高Tiモード ; Ti(0)=10keV、<n>=2×1019m-3, B=4T
高βモード ; <β>≧5%、B=1-2T
となる。

上記諸量は、そのプラズマが持つべきパラメーターの絶対値という観点から与えられているが、これらのパラメーター実現を通じて無次元量(衝突度合、β、エネルギー緩和度、平衡緩和度、プラズマ壁相互作用平衡度合等)において核融合プラズマに外挿し得る領域の研究が可能となるよう選定されてもいる。

 以上の基本構想は、ヘリカル系研究による核融合研究推進への寄与という観点では、核融合プラズマの挙動の解明に適用できる高温プラズマの閉じ込めの実現と、定常運転の物理、技術の開発を重要な使命として、図2-2-1の核融合積nτETとプラズマ運転時間にその特徴的実験領域が策定された。

図2-2-1 核融合三重積と放電時間で表した運転領域

この目標プラズマを実現し、閉じ込め研究を遂行するために、
(i)磁場構造はL=2を基本に磁気流体平衡安定性および粒子閉じ込め性能の点からm=10、Ap(R/ap)=6-7とし、H-E、ATF、CHS、W7-A、W7-AS等のデータベースを基にし、装置の大きさ、磁場強度等を策定した。ap=0.5-0.6m、R/ap=6-7、R〜4m、B=4T、Pabs=15-20MW。
(ii)ヘリカル形状の境界のはっきりしたセパラトリックスを有するダイバータ磁場構造を持たせ、粒子及び熱の制御が可能になるよう連続巻、かつピッチ変調したヘリカルコイルを採用した。
(iii)プラズマの磁場制御のため種々の自由度を採り入れてある。即ち ア)3対のポロイダルコイル系(IV, OV, IS)による磁気軸位置制御用の2重極(垂直)磁場、プラズマ断面の楕円率制御、イ)ヘリカルコイルを3ブロックに分けて巻き、ヘリカルコイルのピッチγ(mac/LR)を可変(γ=1.1-1.38)にすることでプラズマ半径(ap=0.5-0.65m)、回転変換角l(r)、磁気シアーを制御できるように工夫してある。ウ)磁気島を形成、制御し、LID(Local Island Divertor)によるプラズマ実験のためLIDコイルも設置されている。

 以上の物理的要請と技術面からの条件を整合させ、種々の検討を行うことで表2-2-1のパラメーターを有する大型ヘリカル装置(図2-2-2)を設計、建設することにした。基本設計の結果、装置寸法は基本構想とほぼ同じだが、磁場強度は第1期B=3T、第2期B=4T(超流動冷却1.8K)となったので、大型ヘリカル計画の目標パラメーターは、第1期(平成10年〜12年)では

高mTモード ; <T>=2.5-3keV、<n>=1020m-3、B=3T、τE=0.2s
高Tiモード ; Ti(0)=8keV、<n>=2×1019m-3、B=3T
高βモード ; <β>≧5%、B=1-2T
となる。

表2-2-1LHD設計パラメーター

Phase I(II)
Major radius 3.9m
Coil minor radius 0.975m
Plasma radius 0.5-0.65m
Plasma volume 20-30m3
L/m 2/10
l(0)/l(a) <0.5/1
Helical ripple εh(a) 0.2
B0/Bmax 3/6.6T (4/9.2T)
Helical coil current 5.85MAT (7.8MAT)
LHe Temp. 4.4K(1.8K)
Poloidal coil(IV/IS/OV) 5.0/ -4.5/ -4.5MAT
Magnetic energy 0.9GJ (1.6GJ)
Plasma duration 10s-CW
Repetition time 5min.
Heating Power
 ECH 10MW
 NBI 15MW(20MW)
 ICRF 3MW(12MW)

図2-2-2 LHD鳥瞰図


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