2.3 装置建設経過

 装置建設は本体、加熱、計測、建物を並行して図2-3-1に示されているように平成元年研究所設立から試作開発(超伝導コイル、ジャイロトロン、負イオン源、計測機器等)と平成2年から8年計画で実機建設を遂行した。

図2-3-1 LHD建設計画

1)装置本体は、基本設計の要請に従い、連続巻ヘリカルコイルを用いR〜4m級のB=4T装置を可能にする設計を進めた。B=3-4T、R〜4m級の装置、GJ以上の磁場蓄積エネルギーを持つ装置は常伝導コイルでは大きなL/R、過大電源の困難もあるが、何よりもヘリカル系の特質である定常運転の研究を重視し超伝導コイルを採用することにした。
装置構造としてはヘリカル形状に捻られたプラズマ真空容器、その外側にヘリカルコイルおよび3対のボロイダルコイル(内側垂直、形状制御、外側垂直)群とコイルを支持する支持構造体とし、コイル及び支持構造体は特殊熱絶縁柱によってべースプレート架台に設置されている。全体を大きなベルジャー(クライオスタット)の中に設置する。真空容器は別途異なる支持脚によってべースプレートに固定され、計測、加熱ポート部分はベルジャーのポート部フランジとベローズ接続にし機械的に自由度を確保している。
超伝導コイル設計、製作に当たっては、研究所研究者は勿論のこと、大学研究者及び産業界との協力により高電流密度運転、安定性、経験最大磁場、冷却方法、高精度巻線技術等の充分な試作開発を行った。ヘリカルコイルは浸漬冷却法、試作開発の結果純A1安定化材のNbTi導体を用い、またポロイダルコイル系は大寸法であるのでNbTi導体で、強制冷却法を採用した。

i)ヘリカルコイルと最大ポロイダルコイルの外側垂直磁場コイル(直径11m)は現地製作となった。ヘリカルコイルは誤差磁場を1Gのオーダーに却1えるために、2mmの精度で1年半かけて全長36kmの導体を巻いた。外側垂直磁場も同様の精度で現地製作された。
ii)超伝導コイル及び支持構造体、合計約850トンを冷凍するべく液化機及び冷却システムが設計製作された。
iii)高温プラズマの定常運転を行うために、ヘリカルコイル系を連続巻にし、鮮明なセパラトリクスを有するダイバータ磁力線構造を実現すると同時に、粒子/熱の制御として種々のダイバータ機能の研究が考案されている。本来のバッフル付きClosed Helical Divertorの研究に加えて、低次モードの磁気島を生成し、特殊ダイバータヘッド挿入による熱粒子制御(Local Island Divertor)により低温高密度ダイバータと閉じ込め改善の研究等が可能なように設計製作されている。

2)加熱は、装置本体の磁場、R/aの大きさ、運転密度nなどから必要な加熱入力が算定され、20〜30MWを以下に述べる主として3つの加熱方法で供給することにした。

i)ヘリカル型装置で高電子温度プラズマを生成する標準的な手法は電子サイクトロン加熱であり、ミリ波帯大出力のジャロトロンを用いる。LHDは第1期はB=3Tで実験するので84GHzが基本波であるが、高密度プラズマにアクセス可能であるべく第2高調波168GHzを主加熱とした。84GHz(500kW〜1MW/tube、2s〜CW)×2本、68GHz(500kW〜1MW/tube,2s〜CW)×6-8本を予定している。
ii)ECHプラズマに接線入射による中性粒子ビーム加熱を行なう。非軸対称磁場構造のため、LHDもCHS,ATF装置と同様に接線入射を採用した。但し、主半径4m級のプラズマ中心部を加熱するために、180keVのエネルギーを設定し、また無電流プラズマ実現の観点でビーム駆動電流を誘起しないバランス入射を行うこととした。
iii)更にイオン加熱の有力な方法として考えられるイオンサクロトロン加熱(30-100MHz、3-9MW)についても計画している。この方法はプラズマ生成にも有力である。広い範囲の磁場強度で高密度プラズマ生成が可能でNBIのターゲットプラズマ生成に用い種々の実験を行うことができる。

3)計測は、大寸法3次元プラズマの構造および挙動を精密に調べるべく、空間分解、時間分解の高度な計測器を多種多様に開発、準備している。温度、密度、不純物、ボロメータ、磁気などの通常計測に加え、プラズマの回転、内部電場、磁場の計測用のCXRS(荷電交換分光)、HIBP(重イオンビームプローブ)、MSE(モーショナルシュタルク効果)等の計測等多くの高度な機器を準備している。またトレーサー内蔵ペレット入射などの新しい診断計測も準備している。

以上のような設計及び試作開発研究結果を取り入れて平成2年から8年計画で装置の建設が進められ、装置本体は平成9年12月に大略完成し、LHD計画はその建設期を完了した。初期運転は平成10年初頭より表2-3-1に示すように順調にベルジャー、プラズマ真空容器の真空排気が開始され、冷却、通電テスト、磁気面計測、2.45GHzECR放電洗浄、初期プラズマ実験開始となった。第1サイクルとしてB=1.5T、84GHz(200kWx2)のECH実験、第2サイクルにおいて、磁場2.5T以上でECHに加えて中性粒子ビーム入射加熱(100keV、3.5MW、1-20s)およびイオンサイクロトロン加熱予備実験が行われ、Te、Ti>2keV、Wp〜430kJ、τE〜0.2sと良好な結果が得られている。計測器も遠赤外レーザー干渉計、YAGレーザートムソン、荷電交換再結合光分光法(CXRS)などが速やかに立ち上がり詳細な分布計測を通じて研究に大きく寄与している。

表2-3-1 LHD実験立ち上げ経過

平成10年1月20日(火) 真空試験開始
ベルジャー排気
1月30日(金) 真空容器排気
2月14日(土) 終了
2月23日(月) 超伝導コイル系冷却開始
3月17日(火) ヘリカルコイル、ボロイダルコイル超伝導転移確認
絶対温度約10K(マイナス263度C)
3月22日(日) 液体ヘリウム温度達成
絶対温度約4.4K(マイナス268.5度C)
3月27日(金) 15,O00ガウス達成(定格の2分の1)
3月28日(土) 放電洗浄開始
875ガウス達成、2.45GHz約20kW
3月31日(火) ファーストプラズマ生成
15,000ガウス、ジャイロトロン使用84GHz
約500kW
調整運転継続
実験開始
4月21日(火) 本格運転開始


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