3.1.5 超伝導コイルの励磁

 システム全体の信頼性を十分に確立するために平成10年度は中心磁場が1.5Tのプラズマ実験を行い、次年度以降に高磁場での実験を行う計画である。そのために平成10年3月に1.5T、R=3.9mまでの通電試験を行い、約4ヵ月の1.5Tプラズマ実験を経験してから10月に定格3.0T、R=3.75mまでの励磁を試みた。その途中の2.75Tにおいてヘリカルコイルに常伝導伝播が生じたために緊急減磁動作に入った。この保護動作は正常に働き、約900Nm3のヘリウムを喪失したものの翌日には通電可能な状態に復旧させることができた。その後1.5Tプラズマ実験の合間に慎重に通電試験を行い、常伝導伝播を発生させずに2.75T、R=3.75mまでの励磁を達成した。この時の励磁パターンを図3-1-5-1に示す。
今回の一連の励磁において次に示すような繰返し励磁の効果が認められた。

(1)未経験領域の1回目の励磁では大きなスパイク電圧が発生する。電圧レベルからヘリカルコイルは導体の滑り、ポロイダルコイルはコイル全体の滑りが原因と考えられる。
(2)2回目以降は電圧スパイクの発生頻度とレベルが大きく軽減されるが、所定の頻度は励磁中にも減磁中にも再現性良く発生する。繰り返して滑る箇所が存在すると考えられる。
(3)高磁場から2丁付近まで下げる際にはバランス電圧がほとんど発生せず、その途中で再び高磁場に励磁する際にもバランス電圧がほとんど発生しない。この間は静止摩擦力によって導体等の滑りが発生していない(弾性的な変位のみ)と考えられる。

 ヘリカルコイル導体は高い回復電流の達成を目標にして開発されたものであったが、短尺導体での回復電流よりも低い電流値で常伝導伝播が起きることがHC限界性能試験コイル(内径約250mmの円形導体試験試料)と実機コイルにおいて確認された。超伝導線から高純度アルミニウム安定化材に電流が乗り移る際に安定化材内に遮蔽電流が流れて実質的な抵抗値が高くなることが伝播の原因であると考えられる。定格3.0T近傍は大きな擾乱が加わると常伝導伝播が始まる領域であると考えられるので、励磁速度や励磁パターン等を工夫してコイル内部の擾乱および励磁によるコイル発熱を抑制する必要がある。

図3-1-5-1 #1-o modeでの2.75Tまでの励磁パターン(平成10年12月18日)


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