3.3.1 磁気面・平衛・安定性解析

A.磁気面とプラズマ平衡

磁気面とカオス構造

 LHDの設計においては第一に磁気面の堅固性と粒子の軌道閉じ込めが必要とされる。
そのための磁場解析コードMAGN、HSD等が開発され、これらのコードを駆使して設計が進められ、磁場配位の決定、真空容器内機器設置位置、磁気面測定との比較等が行われた。また、高精度数値計算アルゴリズムの開発により磁気面構造やカオス的な磁力線構造およびダイバータ磁力線の特質を解明し、初期実験でのプラズマ形状の比較検討も行ってきた(図3-3-1)。

図3-3-1 周辺磁気面解析結果(左)とプラズマ発光測定結果(右)

一般磁気座標

 平均化法による定式化の際に導入した座標は磁気面の乱れを記述する上で有効であることが明らかにされており、その発展として磁気面の有無に依存しない一般磁気座標を構築する手法を提案し解析を進めてきた。

LHD磁場配位制御とMHD特性

 LHD実験配位に密接に関連しての広範なMHD解析が進められてきた。3対のポロイダルコイル電流の調整により磁場配位の柔軟な変更は可能であるが、LHDの特徴として、特に、ヘリカルコイル3層でのヘリカルピッチパラメーター制御運転、ヘリカル軸配位運転が可能であり、これらの磁気面特性、粒子軌道特性、MHD特性等も詳しく検討されてきている。図3-3-2にその一例を示した。

図3-3-2 ヘリカルコイル3層制御実験と磁気面特性
内側コイル通電時(左図、ピッチパラメーター=1.12)と外側コイル通電時(中央図、ピッチパラメーター=1.38)の磁気面とそれらの回転変換の半径方向分布(右図)

プラズマ電流評価と磁場配位依存性

 プラズマ平衡に関しては、VMECコードによる解析が進められてきており、ブートストラップ(BS)電流を組み入れたコードを核融合科学研究所で新たに開発し、それによる種々の解析結果を得てきている。標準磁場配位では数百kAのBS電流が流れる。1対のヘリカルコイルの電流を違わせることでヘリカル軸配位を作ることができるが、この配位によりBS電流を零や逆転する事も可能であり今後の実験が待たれている。最近ではNBI誘起電流(大河電流)の詳細解析も進めてきている。

B.MHD安定性解析

べータ限界値とBS電流効果

 LHD実験の重要課題の1つは、5%のべ一タ値達成である。新研究所準備室時代から平均法による平衡コードHAPOLLO、安定性コードHERATOによりその理論的基盤の構築を行ってきており、磁場配位の制御により5%の達成が可能で有ることが明確化されてきた。また、ブートストラップ電流等の正味トロイダル電流の存在による達成べータ値の増減も明らかにされてきている(図3-3-3)。

図3-3-3 LHDの平衡・安定性べータ限界の磁気軸変位(△v)依存性
右図 : -50kA(回転変換減少)のトロイダル電流が存在する場合
左図 : +50kA(回転変換増大)のトロイダル電流が存在する場合

理想MHD安定性(理想交換型モード)

 低モード数理想交換型不安定性と高モード数極限の局所モードの関係を調べ、両者は同じべータ限界を与えるが、成長率は低モード数の方が小さくなることを明らかにした。しかし理想交換型モードの成長率はべータ・リミット近傍では非常に小さく、また有限ラーマ半径(FLR)効果等による安定化を考慮するとヘリカル系プラズマの理想交換型不安定性によるべータ限界値は上方に修正されることが示唆された。

バルーニングモードの3次元解析

前述の平均化法の解析では3次元配位に固有の不安定モードを扱えない可能性があり、3次元MHD安定性解析コードCAS3Dコードによりその詳細を解析してきている。メルシェ不安定平衡における3次元MHD平衡固有のバルーニングモードの一例を図3-3-4に示す。各々のトロイダルモード数に対して、異なるポロイダルモード数を持つフーリエモードのグループがポロイダルモード結合によりトカマク的なバルーニング構造を作り出すと同時に、異なるトロイダルモード数を持つフーリエモードのグループがトロイダルモード結合により、3次元的な構造を作り出していることが明らかとなった。

図3-3-4 バルーニングモード解析
左図:磁気面方向の変位のフーリエ成分の動径方向分布
右図:摂動圧力のポロイダル断面等高線分布

非線形不安定性によるべータ限界理論

 これまで線形安定性解析に基づき多くの研究がなされてきているが、その方法論が必ずしも十分とは言えない。べータ限界に関する新しい理論解析として、非線形不安定性の発生によるヒステリシスが崩壊現象をもたらすことを解析した。この新しい理論的方法によりLHD型のプラズマを解析すると、磁気シアが弱いときには巨視的な非線形不安定性が発生し、磁気シアが強い時には輸送係数が急増するタイプの崩壊現象が発生することを示し、崩壊現象の発生する臨界圧力勾配を予言した。



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