3.4.1.3 イオンサイクロトロン周波数帯加熱

1 概要

 大型ヘリカル装置では、イオンサイクロトロン周波数帯(ICRF)のプラズマ加熱・生成実験を平成10年から開始した。定常(3MW/30分)と大電力(12MW/10秒)加熱がICRF加熱の実験計画の目標である。このため定常・大電力高周波加熱源、大電力伝送システムの開発、プラズマ加熱のためのアンテナ(速波用と遅波用)の製作が行われた。平成10年度の第2サイクルからICRF加熱実験を開始し、良好な結果を得た。


2 定常・大電カ高周波加熱のための開発研究

2.1 定常・大電カ高周波加熱源

 LHDでのICRF加熱のために広周波数帯域をもつ高周波加熱源を製作した。各種加熱法と広範囲な磁場強度での実験に対応できるように、周波数可変範囲を25-95MHzと選んだ。2重同軸キャビティの強制空冷強化、低インピーダンスの高周波発振モードの発見等により、2MWで!0秒、1.6MWで5,000秒の試験結果を得た。

2.2定常大電力加熱のための高周波電カ伝送システム

 高周波電力伝送システムは、同軸管(240φmm)を基本要素として構成されている。開発試験ではVRF=40kVで30分、VRF=45kVで10秒の試験に耐えることが目安となる。表3-4-1-1に示すように、高周波電力伝送システムを構成するコンポーネント(セラミックフィードスルー、液体スタブチューナ、ループアンテナ)で、VRF=40kV以上で30分の試験に成功している。特に液体スタブチューナは高周波電力伝送中に液面を移動させることができ、インピーダンス整合一の負帰還制御の可能性を与えた。

2.3 ICRF加熟アンテナ

 ICRF加熱のためのアンテナとして、2種類のアンテナを製作した。一つは速波励起用の可動ループアンテナ(図3-4-1-3)、他は遅波励起用の可動折り返し型導波管アンテナ(図3-4-1-4)である。上下一対のループアンテナは長さ600mm、幅460mm(アンテナストラップ300mm)である。折り返し型導波管アンテナは、24回折り返しを持つ、幅1,050mm、高さ428mm、長さ3,950mmのキャビィティ構造をしたアンテナである。

表3-4-1-1 ICRF加熟システムの開発試験結果

開発試験に於ける達成値
高周波発信機 1.6MW、5,000秒
セラミックフィードスルー 40kV、30分
液体スタブチューナ 50kV、30分
同軸伝送路 50kV、30分
ループアンテナ 40kV、30分

図3-4-1-3 速波励起用の可動ループアンテナ 図3-4-1-4 遅波励起用の可動折返型導波管アンテナ

3 初期ICRF加熱実験

 第2サイクルで、初期ICRF加熱実験がループアンテナを用いて行われた。磁場は1.5Tで、周波数25.6MHzが選択された。イオンサイクロトロン共鳴は大半径位置で、磁気軸の少し内側にある。Heプラズマに少数Hイオンを加えた実験では、モード変換領域はプラズマ小半径0.5近傍である。2倍高調波加熱のECH(84GHz)で生成された線平均電子密度8×1018m-3のプラズマに、ICRF加熱を重畳した(図3-4-1-4)。図に示すように、ECH単独の時とほぼ同じ量のプラズマ蓄積エネルギーの増加が得られた。ECHとICRF加熱ともに加熱電力は各々300kWである。この加熱モードでは電子温度の増加が顕著である(図3-4-1-5)。またプラズマ蓄積エネルギーはICRF加熱電力に比例して増加している。

図3-4-1-5 ECHプラズマヘのICRF加熱重畳実験

4 今後の計画

 第3サイクルでは、ICRF加熱電力の増力を目指す。ループアンテナを用い、各種加熱法(少数イオン、2種イオン混成共鳴、2倍高調波、シアアルフベン)において、最適な加熱条件を捜す。さらに加熱時間を延ばし、長時間加熱実験を試行する。また第3サイクルから稼働する折り返し型導波管アンテナで、プラズマの生成加熱実験、プロファイル制御等の初期実験を開始する。

これに対しては、イオン源内プラズマの閉じこめ性能を改善することにより16.2Aの負イオンビームを低動作ガス圧(0.4Pa)で得ることに成功した。その後は負イオンビームの質を上げることに研究の比重を移した。


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