3.5.2 高度な実験を統括する最新鋭制御システム

 核融合プラズマの性能向上のためには、各種の制御技術が必要である。例えば、プラズマ閉じ込めの高性能化のためには、超伝導コイルによる磁場配位の制御、加熱装置による加熱パワー分布の制御、ガスパフ・ペレットによる密度分布の制御、ダイバータ等による周辺プラズマの制御などの実験制御が不可欠である。また、それを支える機器装置の安全でかつ機動性に富んだ運転制御が必要である。特に、LHD計画では、世界最大の超伝導コイルを用いることにより高温・高密度の長時間プラズマの生成・維持を目指しており、そのためには従来のパルス型装置と異なり対話型のフイードバック制御システムが期待されており、複雑なシステム全体を機能的に統括するための量新鋭の計算機制御システムによる実験遂行が予定されている。

 LHD全体システムは、本体系、加熱系、計測系、基幹系に大別され、例えば本体系では、中央制御装置(実験制御計算機、本体制御計算機、保護インターロックシステム、タイミングシステム)、超伝導ヘリカルコイル、超伝導ポロイダルコイル、ベルジャー・支持構造体、真空容器、リミター・ダイバータ、真空排気装置、液化機、コイル電源、プラズマ生成装置等の数多くの複雑な機器装置群から構成されており、これらの安全でかつ機動性に富んだ運転が要求される。実験・運転に際しては、中央の実験制御計算機が機動性に富んだ実験遂行を全体的に統括し、本体機器の信頼性のある安全な運転には本体制御計算機が用いられる。各機器の急速フィードバック運転は分散型制御を基本とするが、各機器と中央とは制御LANで密に結ばれ、重要な情報は中央に集められ中央からの制御も行われる。(図3.5.2-1)

 膨大で複雑なシステムの制御技術は、加速器、ロケット、天体望遠鏡等の大型物理・工学実験装置において共通の課題であり、実験制御システムの標準化とソフトウエア資産の共有に関する問題が研究分野を越えて討論されてきている。LHDでは、これらの世界的な動向を踏まえて、制御装置の設計・研究開発を進めている。
LHD本体の運転としては、3対のポロイダルコイルと3層ブロックで2対のヘリカルコイルを柔軟に励磁し、各種の磁気面配位を生成・制御する。設計では誤差磁場による磁気面の乱れに留意しコイルの製作・設置精度を決定し、実際の運転・制御においては古典的なPID制御法の他に新しい知的制御方式としてのファジィフィードバック制御法の適用を行い、プラズマ位置、断面形状、プラズマ電流等の制御を試みる予定である。また、ニューラルネットワークによる磁気面形状の同定・制御等の検討も予定しており、LHD計画を通しての核融合プラズマの新しい制御学の構築を模索中である。

 以上のプラズマ制御システムを含めたLHD中央制御システムでは、UNIX計算機、イーサーネットLAN、VMEデバイスコントローラ実時間0S(VxWorks)とで構成し、そのシステムの基本設計・全体設計及びシミュレータ装置を用いての開発研究を進めている。

 LHDの制御システムの設計・開発には、核融合分野に留まらず、加速器、ロケット、天体望遠鏡等の大型物理・工学実験装置での成果や研究交流を踏まえて進められており、知的制御の大型プラントヘの適用という新しい試みの検討が続けられている。

 これらの最新鋭の制御システムを活用することにより、安全で柔軟性に富んだ実験を遂行することが可能となり、実験目標である世界最高峰の定常プラズマの実現に大きく寄与するものである。

図3.5.2-1 大型ヘリカル装置 制御・計測システム構成図

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