平成20年度大型ヘリカル装置(LHD)実験成果報告会
はじめに
大型ヘリカル装置(LHD)の第12サイクル実験は,平成20年9月30日から開始し,同年,12月25日に終了しました.平成20年度も共同研究者の皆様のご貢献とコミュニティからの幅広いご協力とご支援により,多くの研究成果を挙げられたことに感謝申し上げます.本報告書は平成21年4月13,14日に開催された平成20年度大型ヘリカル装置(LHD)実験成果報告会における発表とパネルディスカッションの記録をまとめたものです.プラズマ性能の向上,学術的な研究の広がり,そして核融合科学としての理解の深化の3次元方向において図られた研究の進展をご覧いただければと思います.さらに,これが今後の共同研究の展開や新しい研究企画のご提案へつながることになればなおのこと幸いです.
第12サイクル実験では荷電交換分光の高性能化を図ることによって,イオン温度の上昇に伴って不純物が吐き出される「不純物ホール」の特性評価が進みました.中心イオン温度が5 keVを超える閉じ込め改善状態において炭素不純物濃度が電子密度の0.3 %以下となることが分かったことは将来の核融合燃料の希釈の課題解決につながる重要な発見です.これは,同時に観測されるプラズマの自発回転も合わせて非拡散的輸送をもたらす異なる物理量間の強い相関を示すものであり,環状プラズマの総合的理解への大きなとば口の一つと言えます.また,プラズマのベータ値を5.1 %まで上昇させ,5 %程度までに高まった状態を安定にエネルギー閉じ込め時間の100倍以上の長い時間にわたって保持することに成功しました.これによって高ベータ領域でのデータベースが充実するとともにMHD特性についての詳細な解析を理論・シミュレーションとの協同により進めることができました.さらに,新機軸として第12サイクル実験より運用を開始したポロイダルコイルパルス電源によって放電中に磁気軸位置を移動させる制御が可能となりました.第12サイクル実験では,その動作検証とMHD不安定性が発現する境界をより明らかにできました.次サイクルではこの設備と知識を活用してさらに高いベータ値を得ることが期待できます.この他にも,内部拡散障壁による超高密度プラズマではデタッチ状態との両立性や摂動磁場の影響が調べられ,重イオンビームプローブ計測による観測も電場の分岐や高速イオン励起モードなどの研究に力を発揮しました.筑波大学との共同研究による高出力ジャイロトロンも次サイクルから3本体制となります. 平成21年度の第13サイクル実験は10月1日から12月25日までの予定です.この間,延べ約50日の実験日において7000ショットのプラズマ放電を共同研究の機会として供することになります.このLHDの共同利用・共同研究がますます活かされ,研究が大いに進みますよう,皆様のご参画とご協力・ご支援をお願いいたします.
大型ヘリカル研究部 研究総主幹
山田 弘司
プログラム
日時:平成21年4月13日(月)13:30~4月14日(火)16:10
会場:管理棟4階第一会議室
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