数値実験研究プロジェクト

 核融合プラズマは、ミクロの電子やイオンのダイナミックスからマクロのプラズマ輸送までの多数の異なる時空間スケールを持つ非線形過程と複合物理に支配された複雑物理系の典型的なパラダイムであります。これまで、その物理機構の解明・体系化を目指した研究として、スーパーコンピュータの能力を最大限に発揮できる大規模シミュレーション研究が実施されてきています。数値実験プロジェクトでは、これまでの炉心プラズマから周辺プラズマまでの研究を、実験や理論と連携しながらさらに発展させ、核融合磁場閉じ込め装置全体のプラズマ挙動を予測することのできるヘリカル数値試験炉の構築へと繋がる大規模シミュレーション科学を推進します。

●電磁流体シミュレーション

 プラズマ流体近似に基づく理論および数値シミュレーションを駆使して、磁場閉じ込め核融合プラズマの平衡、安定性、非線型発展等における性質を解明することを目指します。特に、LHDプラズマで観測される現象の物理的機構を明らかにすることを中心とした解析を行います。プラズマの自己安定化現象、崩壊現象、誤差磁場等による磁気島の影響、ペレット溶発現象等の解析を通じて、安定放電領域限界や最適な粒子補給手法に関する系統的な知見を得るための研究を行います。さらに、これらの知見を基に、トロイダルプラズマ全体にわたる普遍的な学理の構築を目指し、輸送モデルや他の理論研究との関連も検討します。
LHDにおけるコア密度崩壊の非線形MHDシミュレーション

●運動論的輸送シミュレーション

 超高温の電離気体であるプラズマを効率よく閉じ込めるためには、その悪化の原因となる輸送現象を究明し、その抑制方法を見いだすことが必要です。そのためには、微視的な粒子軌道効果を考慮した運動論的シミュレーションによる研究が重要です。ここでは、ジャイロ運動論およびドリフト運動論を用いて、LHDをはじめとした磁場閉じ込めプラズマにおける乱流輸送ならびに新古典的輸送現象の理論。シミュレーション研究、および、それに必要となるシミュレーション手法やコードの開発も行っています。
LHDプラズマにおける乱流輸送のジャイロ運動論的シミュレーション
(色は温度の不一致性によりプラズマ中に発生する乱流渦を表している)

●プラズマシミュレータ

 シミュレーション研究を推進するために、77TFLOPSの演算速度、16TBytesの主記憶容量を持つスーパーコンピュータシステムであるプラズマシミュレータを活用しています。システムはプログラム開発支援サーバ、外部記憶装置を備え、高速ネットワークに接続されています。共同研究者はインターネットを利用して遠隔地からもこのシステムにアクセスすることができます。
プラズマシミュレータ

●統合輸送シミュレーションコードの構築

 環状系磁場閉じ込めプラズマの閉じ込め物理の機構解明と体系化に資するため、TASK3Dを基盤とした統合輸送コードの構築に取り組みます。3次元磁場構造の効果を取り込んだ輸送係数や輸送フラックス、粒子・熱生成・損失源、境界条件などを拡散型輸送方程式に繰り込んで、プラズマコア部分の巨視的実験観測量の全時間挙動を予測することを目指します。その精度を高めるために、既存の理論モデルの検証や改良、大規模シミュレーションを通じた新たなモデルやデータベース等の導入を進めるとともに、広範なパラメータ空間にわたるLHD実験データに適用して検証を行う作業が不可欠です。LHD装置計画プロジェクトや、多くの共同研究者との緊密な連携によって、これらの研究を進展させています。
統合輸送コードTASK3Dのモジュール統合イメージ

●3次元没入型バーチャルリアリティシステム CompleXcope

 3次元シミュレーションなどから得られる空間的、時間的に複雑な様相を実際の3次元没入型バーチャルリアリティシステムCompleXcopeの開発を進めています。そこでは、実際の実験装置内部を再現し、シミュレーションなどとの結果とも併せて表示することによって装置の最適化に寄与する方法の開発も行っています。
バーチャルリアリティシステムComplexcopeに表示した
LHD真空内部およびプラズマ圧力等値面
研究成果 > 数値実験研究プロジェクト
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